2017年7月25日火曜日

デュプリマブ治療経過・アトピー・アレルギー治療

*(情報追加・訂正 7月30日2017年)

私は2012年ぐらいから、リジェネロン社のデュプリマブ治験を近くで見てきたので、8人ほどの治験患者の経過を長期に渡ってみる事が出来ました。

治験前の状態:いくらトリガー駆除やスキンケアを行っても安定しない。アレルギー症状も多く(顔・首などの炎症が強く出ている方)、一時的に内服薬を使っておちついても又じわじわ悪化していく。

治験中:これは運もあり、偽薬が入っている可能性もありました。我々の中で偽薬に当たったと思われる方は1名いましたが、実際に偽薬かどうかは誰も判らないようになっているダブルブラインドスタディー(医者・患者が判らない)のため、オープンラベル(無料でお薬を貰える期間)が始まった後、効果がもっと発揮する方などすぐに判ります。

ステロイドほど即効性は無いですが、呪いが解けていくかのように確実に皮膚が丈夫になり、赤みも消えて行き安定していきます。なんだか気が付けばどんどん安定していくような感じです。

花粉症の症状も改善された患者もいました。これも、そういえば鼻水や目の痒みが無くなったような気が。。と言う感じでした。
喘息にも効果ありますが(ヨーロッパの治験では喘息用として開発されていた)私が見てきた患者の中では治療するまでの喘息持ちはいませんでした。

治験後:オープンラベルと言う無料でお薬を貰える期間が3年ほどあります。この間に、更に安定する方が多かったです。私の知っているグループの中では一人だけ、目の周りの炎症などがすっきり取れない方がいましたが、これも統計で考えるとデュプリマブでも100%炎症を抑えきれない方が出てきます。

興味深い事としては、オープランベル期間が終了されて来ているので、日本での認可が遅れているため、断薬するギャップが出来ます。ここで安定した状態をトリガー駆除やスキンケア、感染予防などでキープできるかどうかです。ここで一度安定した肌をお薬を使わずにキープ出来れば、デュプリマブの使い方をもっと合理的に出来ます。

更に投与量なども調節する事が可能だと判って来たので、伸ばして使ったり、少量にして更に合理的に使う方法などもあります。お薬の認可が下りてから、どんどんクリエティブな使い方が出て来ています。

*最近に判った事が円形脱毛症への効果もある可能性が出てきました。この疾患に対しての治験は行われていませんが、アトピー性の患者様は白斑・円形脱毛症などの免疫疾患を患っている方が多いので、治験に参加した方達の中でも効果を感じられた方達がいたようです。同じ免疫疾患であり、IL4とIL13は関連しているとかんがえていたようですが、実際にはどのインターロイキンが確実に作用されているかはまだ不明です。

デュプリマブを使ってアトピーを治療する事に関して沢山のご質問を頂いていますが、全員のアトピー患者には必要のないお薬です。我々の重症患者の中、5%未満の方達しか使っていません。コストに問題の無い方はすぐにでも使えますが、まずは的確な治療を行う事によって、必要かどうか明確になります。今は最終兵器として使っていますが、お薬だけに集中するよりも、病気の実態やケアの知識、感染予防などが長期安定に繋がります。デュプリマブはリバウンドや感染に対する治療は出来ません。トリガーが強すぎるとデュプリマブの効果を貫いて炎症が出ます。これらをすべてコントロールする事によりアトピーの治療が成功します。




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