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2017年3月28日火曜日

ネモリズマブ:抗IL31生物薬、アメリカでの治験成果と評価は。。。

ストレートに言うと良くありません。治験そのもののステップを簡単に説明します。

ネモリズマブはPhase2からPhase3に移る段階ですが、治験と言うのは大まかに言うと:

Phase1 - 人間への安全性、安全性、安全性、効果も見る
これをクリアすると

Phase2 - お薬の効果、プラセボ(偽薬)と本物をランダムに投与し効果を見る。この時に学会への発表などあったりし、データを見せます。経済的にも重要な事です(株価)。
これをクリアし、製薬会社の判断で

Phase3 - 治験の中でもっとも費用が高く、期間も大体一番長い。ここまで行くとなんとしてでも市場に出したい所。お薬の投与量や長期間データ収集。この辺でオープンラベルと言い、無料で製薬会社からお薬を貰う代わりに長期間安全性や効果のデータも収集する。

日本のCHUXXI製薬抗IL31生物薬、ネモリズマブはアメリカでも治験を行われています。私は医療コーディネーターとして、治験クリニックを良く知っています。治験クリニックも他のクリニックと良く情報交換します。治験コーディネーター会社の質やお薬の効果など、みんな興味深い事です。

抗IL31のPhase2治験が終了してきているので、大体良いお薬なら同じクリニックでそのままPhase3を行います(すでに製薬会社や治験コーディネーターとの関係も成り立っており、看護師もトレーニングを受けているのでスムーズ)。あまり好ましい結果がPhase2で出ておらず、治験を行っていたクリニックがPhase3を放棄する所が増えて行っています。製薬会社から好まれている治験クリニックは依頼が多いのでどの治験を行うか選べるようになります。
噂が広まり、これらのハイレベルな治験クリニックはPhase3を拒否しても他のもっと効果の良い治験を選べる事になります。Phase3から始めるクリニックは実際Phase2を行っていないので、他のクリニックからの情報なども使います。Phase2を行っていた所はすでにどのような効果があったか判るので、効果が良くないと継続しません。

新しい治験サイトや人気のない所はどんな治験でも受け入れてくれるでしょう。お薬の効果が良くても悪くても治験を行えば利益になるので、そういうクリニックもあります。やはり医者として良いお薬の治験だけを行いたいクリニックも沢山あります。

抗IL31生物薬はPhase3のデータが出ないと100%の答えは出ませんが、Phase2の結果はあまり良くないです。治験でお薬の効果が良くないと言うのは、製薬会社の世界では良くある事です(Gentechの抗IL13も喘息を大きくターゲットしていたが、あまり良くない成果が出ている)。プロトピックが日本でもアトピーの救世主のように言われていた通り、もし治験データが良くないと新しくお薬を開発し直す方が無理やり市場に出すよりも合理的だと思います。

Phase2を行っていたクリニックはPhase3放棄をするのは良くない事です。

リジェネロンのドゥプリマブ抗IL4+IL13はやはり各段に好ましい治験データの結果と医師会からの注目と期待されています。3月29日が公認日予定されているので、とても楽しみに待っています。


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