OMC

2016年5月3日火曜日

オレゴンOHSU人工授精の技術と成功率

OHSU人工授精スペシャリスト、ドクターリー
イェール医学部M.D.、ハーバード専門医レジデンス


今一番話題になっているのが着床前検査と言う技法で受精卵から生検を行い、染色体をラボで検査する事によって異常な物を省き、結果が正常だった受精卵のみを使う技法です。

PGS検査
これは染色体一般の検査であり、主にダウン症や染色体の異常を見ます。このときに男女産み分けを行う場合、XXかXYも解るので選ぶ事が出来ます。染色体に異常がある受精卵は着床する確率が少なく、流産のリスクもかなり上がります。これによって大幅に妊娠率を上げる事が出来ます。

PGD検査
特定した病気を集中して探す技法です。必ず子供に受け継がせたくない病気などを事前にお母さんとパートナーが遺伝性疾患を探す血液検査を行い(パネルには100種類以上)、結果次第でPGDを受精卵に行います。もしどちらかのパートナーがすでに病気を持っている事を自覚していたり、産んだお子様がすでに疾患を患っている場合もPGD検査を進められます。

MITI Score
受精卵から採取した細胞からミトコンドリアの数値を見ます。この数値は少ない方が着床率が上がります。多いと受精卵にストレスが多いと判断され、着床率は低くなりますが受精卵の染色体検査とグレード分けによる点数が先に重視されます。現在MITI Scoreは、グレード、PGS/PGD正常で同レベルの受精卵がある場合、低い方のMITI Scoreを選ぶように使われています。


OHSUラボ

ステップとしては:
→体外受精が一番良い方針と判断した後にお母さんとお父さんがスクリーニング検査を始めます。
→遺伝子検査、遺伝子カウンセラーとのミーティング
→もし遺伝性の病気が血液検査で陽性の場合、お父さんも検査必要(もしくわすでに検査済み)
同じ遺伝性の病気を両親がもっていない場合は、子供に受け渡すリスクはとても少なくなります。両親が同じ病気を持っていても特定したパネルの病気では遺伝性は25%以下となります。
→卵子採取の準備をする(お薬、誘発剤など)
→卵子採取日とパートナーの精子サンプル採取を同じ日に合わせ、ICSI(一番良い精子を選び、卵子直接に入れる技法です)を行い、受精卵を作る。
→5~6日間待って受精卵の発達、グレード分けをします。この時点でPGS/PGD検査を行う場合、受精卵に生検を行い、ラボで検査する必要があるので受精卵をすべて凍結させます(検査結果が戻ってくるまで、約1週間)。
→ラボからの染色体検査結果を貰い、受精卵を選び始める。
例:
受精卵2と4は染色体が異常と検査で戻ってきました。1,3,5はそれぞれのグレード分けがされております。左のアルファベットが受精卵の外側(膜)細胞のレベルと右のアルファベットが中の細胞レベルです。+Aが一番質が良く-Cが一番低い物です。
上の数値はMITI Scoreを示しています。低い方がミトコンドリアが活発でないので低ストレスの受精卵と判断されています。

お母さんの年齢にもよりますが、OHSUの成功率・技術では36歳以下の女性で健康ですと、一つの受精卵を使って着床される方針を取ります。最低60%の着床率と言われてますが、データはかなり保守的な物なので実際は~70%~80%だと言われております。PGSを行う事によりかなり妊娠チャンスを上げる事が出来るのと、一番良いグレードの受精卵を選び抜く事によって、更に着床率と安全な妊娠率が上がります。冷凍した受精卵を使う事によって、お母さんの体への負担を下げる事が出来ます。本来の体外受精の場合、卵子を採取してから5日~6日目に受精卵を母体へ移植するのですが、誘発剤やホルモン剤を使ったばかりなので、母体への負担があります。冷凍して時間を作る事によって母体の準備をもっと整える事により着床率が上がるデータが出ています。確かに受精卵を解凍する技法によって亡くしてしまう場合もありますが、現在の技術では~5%以下です。

 待合室

OHSUロビー

残りの受精卵は冷凍保存して置き、二人目の子供、もしくわ1回目で成功しなかった場合、再チャレンジとして使えます。これによって2回目のサイクルは負担も少なく、コストも下げて行う事が出来ます(すでにPGS・PGD検査やグレード分けがされているのと、卵子採取を行わなくても良い)。



アメリカでは年齢や家族歴によって、PGSとPGDはお進めされますが、最終的には患者様が判断する事になります。倫理的な面や金銭的な事もあり、この技術はオプションとしてあります。OHSUでのPGS・PGD検査は~$4000ぐらいです。リスクや遺伝性の病気などカウンセラーとしっかりミーティングしてから方針を決める事になります。

日本ではこの検査が倫理的な問題や医療学会で認めていなかったり、少し難しい所があるので海外で人工授精を行う方が増えている理由の一つです。

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