OMC

2016年5月28日土曜日

5月チーム、渡米アトピー治療スタート!

先月は男性お二人でしたが、今月は親子と女性一人のチームです。親子の方はオハイオ州・クリーブランド周辺に旦那様のお仕事で駐在されております。もう一人の方は日本からです。

アメリカ駐在中の日本人患者も数十名治療に来られました(カナダも)。この理由は最寄りの病院へ行ってもアメリカだからと言って決して良いとは限りません。以前にも書いたように、日本特有のアトピーは中々アメリカでも理解して頂けません。仕方ない事で、アメリカのドクター達も日本の医療や現状などは解らないので、リバウンドや民間療法、日本でのアトピー事情を説明しても伝わりません。温泉や食事療法、漢方などのお話しをしたら絶対に”What!?”になります。

オハイオ州は田舎なので、やはり現地の医者には”アトピー性皮膚炎の方にはアレルギー治療は出来ません”と断られたようです。我々の用にアトピーを患っている方にも安全に打てるようにラッシュセラピーや濃度の改良などはほぼどこのアレルギー科でも行っていないので、当然理解して頂けません。

お二人ともステロイド外用剤はほとんど使わず、抗ヒスタミン剤や保湿剤などで我慢していたようです。病気の酷さも我々と患者自身の視点は違うので、中ぐらいの炎症が出ていても本人からすると死ぬほど辛いかもしれません。超重症の方でも”今は比較的落ち着いている”と言う方もおられました。経験や体感などによってかなり異なります。患者様ご自身がどれだけ苦しい思いをしているかが重要なので、医学上だけの酷さだけでは無い病気だと思います。

ドゥプリマブも高額なお薬になるので、”アトピー点数”のような基準やハードルが出来る見込みです。全員のアトピー患者に渡すと国民保健にかなりの負担をかけるので難しいと思われます。ダウン・アップ治療法と言い、最小限のお薬から始め、効かなくなってきたりすると量や強さを増やしていく方法です。これは大体みんな経験してきている事ですね。弱いステロイド外用剤からベリーストロングに上げて行き、それの効果が無くなるとリバウンド待ちがずっと使い続けるかになる行き止まり状態の事です。

こちらではアップ・ダウン治療法で一番良い、最善の治療を始めから行う事によって治療効果を最大限まげ上げます。安全性重視はしていますが、早く良くなってほしいため、古い、弱いお薬から使って様子を見ると言う事はしません。これらは国民保健制度とアメリカの医療制度の違いだと思います。

5月チームの方達はポートランドでのローズフェスティバル祭りやバラ園のオープン時期なので色々と楽しめると思います。雨もそろそろ終わる時期なので、気候も良く湿気がほとんど無いのでとても良い時期来られました。

⇒人気ブログランキングに参加しました。クリックして頂くと医療・健康のランキング順位を上げる事が出来ます。これからも多くの方達へ海外医療への道を一つの選択方法として情報を広めて行きたいと思います。あつかましいですが、励ましのクリックを宜しくお願いします!



2016年5月26日木曜日

4月チーム、渡米治療終了!

4月男性チームのお二人、治療中はお疲れ様でした。無事渡米治療終了し、帰国されました。

一人の方は炎症が酷すぎてアレルギー検査が初日に行えなかったですが、2週目でだいぶ回復され、検査を行い、帰国ぎりぎりでラッシュイミュノセラピーを終える事が出来ました。

ポートランドの生活も満喫されて、とても良い滞在になったと思います。幸い天気も良く、汗の対処やトリガー探しの練習にもなり、これから日本に帰っても自信を持ってケアを継続出来ます。

リバウンドの対処も必要なかったので今後も安定した状態を維持して良い経過が期待されます。理解力も強く、スキンケアもドクターにほめられるぐらい上手で指示を忠実に守るタイプの患者様でした。

これからお仕事も復帰し、スポーツや趣味なども初めて生活の質が上がる事を願っております。日本に帰ってからが本当の治療始まりなので環境を整え、季節や状態で変化するケアーを行い、感染予防やアレルギー注射を継続し、アメリカで覚えた知識で今後コントロールしていきます。安全網も沢山作っているのでチャットワークを利用して質問やディスカッションをしたり、オンライン診察サービスを利用したり、沢野クリニックのドクターと連携を取って必要な場合は検査を行ったり、ビデオSKYPEディスカッションで相談したり、あらゆるサポートがあります。

今後も治療経過が良い事を心から願っております。

(最終日、PDX空港でさよなら。患者様のご要望で一部修正を加えております)

⇒人気ブログランキングに参加しました。クリックして頂くと医療・健康のランキング順位を上げる事が出来ます。これからも多くの方達へ海外医療への道を一つの選択方法として情報を広めて行きたいと思います。あつかましいですが、励ましのクリックを宜しくお願いします!

2016年5月7日土曜日

ステロイド依存症からのリバウンドをコントロール

アメリカでは聞かない、”脱ステ”と言う言葉を良く患者様から聞きます。まずは、どうしてアメリカではこの言葉を聞かないのか?アトピーは日本人にしかない病気?脱保湿や温泉療法などもどうしてアメリカに無いのか?

ほとんどの方は子供の間に的確な治療やケアーを教わっているので、成人アトピーの人口がとても少なく、脱ステや民間療法などが流行らない訳です。滞在中の患者様も1カ月ポートランドで生活して一人もアトピーの人を見ないはずです。私も実際成人アトピーと言う方とはアメリカ人生(26年)で一人だけ遭遇した可能性があります(高校の友達で口の周りが荒れるのでハイドロコーチゾンを塗っていました)。乾癬は見たことありますが、友達のケース以外では私はまだアトピーをコントロール出来ていない方とは遭遇した事がありません。

このいった現状でリバウンドや脱ステとか行っている方が更に少数になります。アメリカのドクター達も先進国の日本でハイテクな技術や高性能な車や電化製品を製造している国がどうしてアトピーがこのようになってるかとても不思議に思うようです。漢方や食事療法をまだ行っていると聞くと、とても古風な方針で病気の実態を解らない頃はあてずっぽうで色々と試していた頃もあったが、病気の実態が解るとそういう古風な治療法は無くなっていくはずだと、良く言います。

患者への教育をする時間もなく、ステロイド軟膏や抗ヒスタミン剤を渡され、痒くなったら使って下さい、との指示だけで終わっている方も多いようです。ステロイド軟膏が効かなくなってきたら、強さを上げていき、ベリーストロングまでたどり着くと、それもいずれかは効かなくなるのでリバウンド待ちの状態になります。

今渡米中のお医者様は日本医療学会で、ステロイド外用剤から副腎不全・停止・低下は起こらないと発表しているとおっしゃっていました。お薬を止める事によってアトピーが悪化するだけ、となっているようです。

ベリーストロングを毎日塗布している方が急に止めるとみんなどうなるか解りますね。我々も渡米直前まで使用していた方達の状態を何百人と見てきているので、リバウンドを身近に沢山見ています。顔や足首が腫れたり、左右対称に極度の炎症が出たりするのは内科的な問題です。”アトピーが再発している”以前の症状です。

渡米治療中はリバウンドをコントロールする事によって安全かつ辛くなく強いステロイド軟膏から離脱出来ます。

上記の図のように、波のように出てくるリバウンド(赤いライン)を筋肉注射と内服薬を症状と合わして抑えていきます。本来なら筋肉注射だけで症状が治まっていきますが(深い赤のライン)、リバウンドを起こす方はブーストとして内服薬(緑のライン)を使わないと注射の効果を貫いて炎症が出てきます。大体ステロイド外用剤を止めてから5日から7日目ぐらいに爆発的に悪化するのでそこをコントロールしていきます。当然その間にもスキンケア、感染対処やアレルギー治療を始めるので良い経過が見られますが、リバウンドを経験しない方と比べると波があります。この波の回数も使っていたお薬の強さ、頻度、期間、塗布範囲などによって異なってきます。体質もあり、ラッキーにリバウンドが強く出ない方や、ほんの2カ月ほど毎日塗布しただけによってかなり重症なリバウンドになる方もおられます。

どっちに転んでもドクターが対処してくれます。これらのコントロール無しで日本で脱ステする事はとても危険で、がまん出来ない状態になるケースがほとんどなので、脱ステは危険です。ゆっくりと止めていく事が重要になります。

⇒人気ブログランキングに参加しました。クリックして頂くと医療・健康のランキング順位を上げる事が出来ます。これからも多くの方達へ海外医療への道を一つの選択方法として情報を広めて行きたいと思います。あつかましいですが、励ましのクリックを宜しくお願いします!


2016年5月4日水曜日

4月アトピー治療チームの経過

2週目で時差ぼけも治り、睡眠も良く取れるようになりエネルギー充電が出来た時期になります。今までの寝不足、倦怠感やストレスも取れていき、一人の方はランニングをケアホーム施設の周りで始め、二人でダウンタウンへ数回バスに乗って遊びに行ったようです。

患者A(医師)-皮膚の経過がものすごく良いです。渡米時は肌の状態があまりにも酷く、スクラッチ検査を拒否されました。血液検査でアレルギーを測った所、ほぼゼロの反応で、日本でも同じような反応だったようです。皮膚が回復してきたので、今週にスクラッチ・皮下注射検査を行います。
スキンケアがとても上手で、ギトギト状態の保湿から程よい量に塗って下さいと指示を受け、皮膚が回復している証拠です。診察で皮膚を見た状態はすでに90%ぐらいの回復が見られ、患者本人も痒みがほぼゼロに等しい状態です。初日に打った筋肉注射の効果は2週目になると70%の効力は無くなっています。アレルギーが無い分(今週で明確になりますが)やはり服の下の炎症が顔や手の甲、首と比べて圧倒的に酷いのが解りました。検査の結果や炎症のパターンで原因が明確になってくると患者様ご本人も納得して治療を続けてくれます。この方は”クラシックパターン”の経過が見られます。これは昔のアトピー患者(20年ぐらい前)の経過で、いわゆる魔法の用に良くなると昔は噂で言われていましたが、その通りに回復していっています。リバウンドの対処も必要なかったので、経過のスピードも速く、皮膚が安定してきています。

患者B-この方も同様で、経過がものすごく良く、クラシックパターン系です。あまり困難化されず、渡米前にステロイドも自分で量を減らして行ったりして、リバウンドの対処をこちらで行う必要が無かったので皮膚が良くなる一方です。患者Aとは異なり、とてもアレルギーが多いので日本に帰国した後に仕事場と家の環境を整える事が重要になります。患者B様もとてもスキンケアが上手で、男性チームお二人ともドクターに褒められるほどスキンケアが良く出来ていました。理解力が強いチームでこちらも助かります。走るのが趣味で、結構な距離を走っているので、ドクターからも日本で行う事をアメリカでもチャレンジしなさいと言われているので滞在中は走り続けると思います。産まれてからずっとアトピーで、初めて痒みから解放される状態と皮膚の感触が明らかに違う事に対して慣れるまで時間が掛かる見込みです。ずっと皮膚を擦ったり、頭を掻いたりする癖があるので、これは他の人から指摘されるまでは中々しぶとく癖が残るものです。痒くなくても掻いている時は指摘しなくてはいけません。

明日はみんなでブラジリアングリルにランチを食べに行く予定です。アメリカに来たからにはお肉を食べたいというご要望があったので、ステーキよりもお肉食べ放題のチュラスコが良いと思いました。

⇒人気ブログランキングに参加しました。クリックして頂くと医療・健康のランキング順位を上げる事が出来ます。これからも多くの方達へ海外医療への道を一つの選択方法として情報を広めて行きたいと思います。あつかましいですが、励ましのクリックを宜しくお願いします!

2016年5月3日火曜日

オレゴンOHSU人工授精の技術と成功率

OHSU人工授精スペシャリスト、ドクターリー
イェール医学部M.D.、ハーバード専門医レジデンス


今一番話題になっているのが着床前検査と言う技法で受精卵から生検を行い、染色体をラボで検査する事によって異常な物を省き、結果が正常だった受精卵のみを使う技法です。

PGS検査
これは染色体一般の検査であり、主にダウン症や染色体の異常を見ます。このときに男女産み分けを行う場合、XXかXYも解るので選ぶ事が出来ます。染色体に異常がある受精卵は着床する確率が少なく、流産のリスクもかなり上がります。これによって大幅に妊娠率を上げる事が出来ます。

PGD検査
特定した病気を集中して探す技法です。必ず子供に受け継がせたくない病気などを事前にお母さんとパートナーが遺伝性疾患を探す血液検査を行い(パネルには100種類以上)、結果次第でPGDを受精卵に行います。もしどちらかのパートナーがすでに病気を持っている事を自覚していたり、産んだお子様がすでに疾患を患っている場合もPGD検査を進められます。

MITI Score
受精卵から採取した細胞からミトコンドリアの数値を見ます。この数値は少ない方が着床率が上がります。多いと受精卵にストレスが多いと判断され、着床率は低くなりますが受精卵の染色体検査とグレード分けによる点数が先に重視されます。現在MITI Scoreは、グレード、PGS/PGD正常で同レベルの受精卵がある場合、低い方のMITI Scoreを選ぶように使われています。


OHSUラボ

ステップとしては:
→体外受精が一番良い方針と判断した後にお母さんとお父さんがスクリーニング検査を始めます。
→遺伝子検査、遺伝子カウンセラーとのミーティング
→もし遺伝性の病気が血液検査で陽性の場合、お父さんも検査必要(もしくわすでに検査済み)
同じ遺伝性の病気を両親がもっていない場合は、子供に受け渡すリスクはとても少なくなります。両親が同じ病気を持っていても特定したパネルの病気では遺伝性は25%以下となります。
→卵子採取の準備をする(お薬、誘発剤など)
→卵子採取日とパートナーの精子サンプル採取を同じ日に合わせ、ICSI(一番良い精子を選び、卵子直接に入れる技法です)を行い、受精卵を作る。
→5~6日間待って受精卵の発達、グレード分けをします。この時点でPGS/PGD検査を行う場合、受精卵に生検を行い、ラボで検査する必要があるので受精卵をすべて凍結させます(検査結果が戻ってくるまで、約1週間)。
→ラボからの染色体検査結果を貰い、受精卵を選び始める。
例:
受精卵2と4は染色体が異常と検査で戻ってきました。1,3,5はそれぞれのグレード分けがされております。左のアルファベットが受精卵の外側(膜)細胞のレベルと右のアルファベットが中の細胞レベルです。+Aが一番質が良く-Cが一番低い物です。
上の数値はMITI Scoreを示しています。低い方がミトコンドリアが活発でないので低ストレスの受精卵と判断されています。

お母さんの年齢にもよりますが、OHSUの成功率・技術では36歳以下の女性で健康ですと、一つの受精卵を使って着床される方針を取ります。最低60%の着床率と言われてますが、データはかなり保守的な物なので実際は~70%~80%だと言われております。PGSを行う事によりかなり妊娠チャンスを上げる事が出来るのと、一番良いグレードの受精卵を選び抜く事によって、更に着床率と安全な妊娠率が上がります。冷凍した受精卵を使う事によって、お母さんの体への負担を下げる事が出来ます。本来の体外受精の場合、卵子を採取してから5日~6日目に受精卵を母体へ移植するのですが、誘発剤やホルモン剤を使ったばかりなので、母体への負担があります。冷凍して時間を作る事によって母体の準備をもっと整える事により着床率が上がるデータが出ています。確かに受精卵を解凍する技法によって亡くしてしまう場合もありますが、現在の技術では~5%以下です。

 待合室

OHSUロビー

残りの受精卵は冷凍保存して置き、二人目の子供、もしくわ1回目で成功しなかった場合、再チャレンジとして使えます。これによって2回目のサイクルは負担も少なく、コストも下げて行う事が出来ます(すでにPGS・PGD検査やグレード分けがされているのと、卵子採取を行わなくても良い)。



アメリカでは年齢や家族歴によって、PGSとPGDはお進めされますが、最終的には患者様が判断する事になります。倫理的な面や金銭的な事もあり、この技術はオプションとしてあります。OHSUでのPGS・PGD検査は~$4000ぐらいです。リスクや遺伝性の病気などカウンセラーとしっかりミーティングしてから方針を決める事になります。

日本ではこの検査が倫理的な問題や医療学会で認めていなかったり、少し難しい所があるので海外で人工授精を行う方が増えている理由の一つです。

⇒人気ブログランキングに参加しました。クリックして頂くと医療・健康のランキング順位を上げる事が出来ます。これからも多くの方達へ海外医療への道を一つの選択方法として情報を広めて行きたいと思います。あつかましいですが、励ましのクリックを宜しくお願いします!